八十六番 / 西行法師
原文
嘆けとて 月やは物を 思はする
かこち顔なる わが涙かな
なげけとて つきやはものを おもはする
かこちがほなる わがなみだかな
訳
嘆き悲しめと月はわたしに物思いをさせるのだろうか。 いや、そうではあるまい。本当は恋の悩みの所為なのに、まるで月の仕業であるかのように流れるわたしの涙ではないか。
嘆けとて 月やは物を 思はする
かこち顔なる わが涙かな
なげけとて つきやはものを おもはする
かこちがほなる わがなみだかな
嘆き悲しめと月はわたしに物思いをさせるのだろうか。 いや、そうではあるまい。本当は恋の悩みの所為なのに、まるで月の仕業であるかのように流れるわたしの涙ではないか。